夜の街並み

私はあたりが暗くなるころに、家の中から漏れてくるあかりがとても好きだ。そこには生活の気配があって、なんとなく安心感に似たようなものを感じる。そういうこともあり住宅を設計する時には、街に対して生活のあかりや気配が伝わるような間取りを計画するようにしている。このことはいろいろな住宅の設計手法を学ぶ中からできてきたパターンのひとつだけれど、建築家の吉村順三氏がこんな言葉を残している。

「建築家として、もっとも、うれしいときは、建築ができ、そこへ人が入って、そこでいい生活がおこなわれているのを見ることである。日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなのではあるまいか。(後略)」

この言葉は私の中で一番大切にしている言葉のひとつだ。

ちなみに街に対して開口部を設けるという計画は、風通しや緊急時の動線も含めてのことでもある。

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