自分に何ができるのだろう。
2011年03月11日、目を覆いたくなる映像が日夜流れる中、そう考えていました。思い至った結論は、「自分の身は自分で守る」ということでした。もし自分が同じ状況に見舞われた時、どう行動するかを考えていて気付いたのです。ボランティアや物資、救助が必要な人はたくさんいるはずです。なんなら私だって救助するほうにまわりたい。ただし「自分が無事であれば」です。自分さえよければいいのかと思われるかもしれません。それでも私がやるべきことと考えたのは「自分の身は自分で守る」という準備でした。
建築設計の仕事、特に住宅は人の暮らしそのものです。暮らしの豊かさを考える反面、避けられない災害にも目を向けていなくてはいけません。また建築だけではなく土地から計画する場合でも、ハザードマップや歴史、地名などからも想像を巡らせる必要があります。経営の神様、稲森和夫氏はこう言いました。「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」。住宅を計画することにも通じるように思います。
これからデジタル化、人口減少や高齢化などにより生活は大きく変わっていくでしょう。そんな中でも人の力ではどうしようもできない災害に対しては悲観的に計画していくべきではないでしょうか。それを『3.11』は教えてくれているように思うのです。
まだまだ10年前の傷が癒えないまま懸命に生きている人たちがたくさんいます。その人たちの多くのエピソードを聞くたびに、早く生活の環境が整備されることを願います。そのためにもいろいろな面でしっかりと自立できるようになりたいと思うのです。
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