宝永の平屋 1年点検

ちょうど1年が過ぎたので、メンテナンス等の確認に『宝永の平屋』に伺いました。建具や枠、天板など、無垢材を使っている部分に調整が必要な箇所がいくつか。あとは住みながら必要となった収納の追加などが主な内容でした。

点検が終わり、昼食をご一緒させていただきました。事前に「軽食でも一緒にいかがですか?」とお誘いを受けていたので。奥様はお菓子屋さん「焼菓子つづる」を営まれているのでお料理もこだわりの物。お菓子のコンセプトにも通づる身体にも口にも目にも優しいお料理でした。

箸を進めながら話題は人の幸せについて。以前、建築家堀部安嗣氏の講話の中で聞いた、幸せについてのエピソードがとても心に響いたのでその話を紹介させていただきました。その話とは、堀部氏の友人Aさんが災害時に避難所で交わしたおばあさんとのやりとりの事。Aさんが避難所に駆け込むときに、とっさに手にしたのは身分証や現金、カードなどの入っている財布。同じく非難してきたおばあさんが手にしてきたのは亡くなったご主人の位牌。おばあさんは亡きご主人との思い出があればこれからも寂しくないととっさに手に取ったのでしょう。現金やカードがあればなんとかなるかもと思ったAさんは自分の行動を恥ずかしく思ったという話でした。普段から幸せの形をどう捉えているかが表面化した体験談でした。

またAIが進むと仕事を奪われるように思われがちだけれど、小説「クララとお日さま」を例に挙げ、もしかすると今よりも人を幸せにしてくれる可能性だってあるかもね、というご主人の話もとても興味深かったです。今は経済性や権力に左右されがちな世の中ですが、これから仕事をコンピューターがたくさん受け持ってくれるのであれば、人はもっと幸せを感じられる体験や環境に命を注げるようになるのかもしれません。みんなが自分だけの幸せを感じる時間を増やすことができるようになる。情報処理技術が進むほど人が幸せになれるのであれば、それはとてもいいことです。悲観的な目を持つことよりも、人が作るものは人を幸せにするもの、と信じるべきかもしれません。

そんなこんなの話をしていたら、あっという間に2時間もお昼をいただいてしまいました。私は家づくりのお手伝いができて、住んでからもこうやって楽しい会話を続けられるということがとても幸せなことだなとつくづく感じたのでございます。

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