上棟の現場での小さな声

おかげさまで宝永の家が無事、上棟しました。準防火地域での木造さらしであったり、かぼちゃ束という特殊な方形屋根のおさめかたであったりと苦労した部分もありましたが、関わっていただいた方々の協力もあり工事は順調に進みました。

朝7時過ぎから施工工務店である「木だて家」さんによる朝礼を行い、17時過ぎまで休憩をはさみながらも職方さんは黙々と作業を進められていました。区切りの良いところで本日の作業はここまでとなり、屋根の作業をされていた職人さん達は下に降りて道具類を片付けながら一息ついていました。私は作業の終えた建物の中でこれまでの設計内容の確認とこれから進める内容のイメージをしていました。

そんな中で少し離れたところからボソッと「これぞケンチクってかんじや・・・」という声が聞こえました。そう言いながら若い大工さんが天井を見上げて写真を撮っていました。

建築とは時代を超えて残っていく力を持っているモノだと思っていますし、自分の設計する建物にもそうした力をなんとか注ぎたいと思っています。そこに携わってくれる職人さんにもやり甲斐や自負が生まれると嬉しいと思っています。そして木造の場合は特に構造を組んだ時が一番美しいと思っているので、上棟の姿をそのまま内装に反映させたいとも考えています。ですのでこのタイミングで若い大工さんから「これぞケンチク」という言葉を聞けたことは、私にとっては最大の褒め言葉でした。手間がかかることも多々あったはずなのにそういう言葉が出てきたことがなによりも嬉しかったのです。思わず「ありがとうございます!!」と言ってしまいました。

まだまだ工事は始まったばかりですが、完成に向けて大きな実りの一日となりました。

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