今回のテーマは何と言っても「人生フルーツの家」です。最初にお会いした時に施主様がイメージしている家の理想は、「映画『人生フルーツ』のような家」というのを聞いて、ぜひ叶えたいですねと盛り上がったのを覚えています。
とは言ったものの実は僕、この映画を見ていないのです。この映画はいろいろな条件がそろわないと上映されない、かなりレアな映画でして。ちなみにどんな映画かといいますと、以下、作品HPより。
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅。雑木林に囲まれた一軒の平屋。それは建築家の津端修一さんが、師であるアントニン・レーモンドの自邸に倣って建てた家。四季折々、キッチンガーデンを彩る70種の野菜と50種の果実が、妻・英子さんの手で美味しいごちそうに変わります。刺繍や編み物から機織りまで、何でもこなす英子さん。ふたりは、たがいの名を「さん付け」で呼び合います。長年連れ添った夫婦の暮らしは、細やかな気遣いと工夫に満ちていました。そう、「家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」とは、モダニズムの巨匠ル・コルビュジエの言葉です。かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきました。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。けれど、経済優先の時代はそれを許さず、完成したのは理想とはほど遠い無機質な大規模団地。修一さんは、それまでの仕事から距離を置き、自ら手がけたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめましたーー。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきました。そして、90歳になった修一さんに新たな仕事の依頼がやってきます。
この作品に感動した施主様に敬意を表して、素朴で純粋な木造建築を目指したいと思います。
場所は福井県にある三方五湖のひとつ『久々子湖』近く、美浜町の海水浴場を臨む約200坪の傾斜地です。
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