evam eva yamanashi 奥野公章

以前なにかの媒体で目に留まったその景色が気になって仕方がなかったのです。その景色が山梨県にある近藤ニット㈱という会社が母体として展開しているアパレルを主とした店舗だと知りました。それが「evam eva yamanashi」です。

主としたというのはこのevam eva yamanashiの店舗に限っては地元ということもあり、飲食を提供する店舗棟やギャラリー棟も併設しています。もうひとつ、もともとこの敷地にあった長屋門と合わせて敷地内には4つの建物が配置されています。そして以前からそこにあった樹木類もできるだけ残すようにして新しい建物の配置を決定したようです。

周囲は地元の石と思われる石垣に囲われていて、長屋門と樹木にすっぽりと包まれているので中の様子はわかりません。細い道路から小さな看板を見つつ長屋門をくぐり前庭の木立の中を進むとパッと開けた場所に出ます。そこで初めてここがお店だと気づきます。石畳と踏み固められた土に雑木の林、その中央にはひときわ目を引く大きなケヤキと、周囲にはグレーの壁に銀黒の屋根のかかった控えめな建築群。控えめなと言ったのは、あくまでも自然が主体であり、建築はその陰に存在させてもらっているかのように感じたから。その自然を生かした配置計画もとてもうまくいっているように感じました。建築そのものも素直でかつ細部にまでこだわりが感じられて、とても良い雰囲気でした。

この建物を見学させていただいて思ったのは、周囲の環境の中で生きる建築は美しいなということ。環境を遮ったり抑え込んだりせずに、環境に従うデザインがいいなと思ったのでした。

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