自然の原則が形を生み出す面白さ・・・中村好文

少し前になにかを読んでいて気になったのでメモしてあった、家具作家であり建築家の中村好文さんの言葉。その時にとてもいい言葉だなと思ってメモにしては長い分を書き留めたのですが、何度読み返してもやはりいい言葉。以下がそのメモ・・・

脚のホゾに楔を入れ、天板にしっかりと固定する。「天板の四隅にあらわれるこの楔は意匠的なポイントにもなるものですが、楔は木目に必ず直行に入れるというルールがあって、木目と平行に入れると木を割る方向に働いてしまう。斜めに打つのがカッコイイとか、恣意的にはできない。木は縮んだり捻じれたり、わがままでやんちゃです。木には常に「こうでなければならない形」があるのです。デザインするときはいつも木の性質に付き合わなければいけない。たとえば職人は木を乾燥させるために何年も寝かせておき、一旦製作にかかると木は急に動き始めるから瞬時に接ぐ。つまりゆっくりだったりスピードを上げたり、いつも木の都合に合わせる。格好だけのデザインをしたならば途端に狂ったりあばれたりしてしまう。暖炉や薪ストーブのデザインも燃焼の法則で、それに寄り添うようにしないと駄目で、木の家具のそれとまったく同じ。自然の原則が形を生み出す面白さ、そういう意味では住宅の設計も同じです。生身の人間が365日暮らし、長い年月住むための居心地が必要。そんなことが歯止めになるから格好だけのデザインはできない。僕はこれが面白いなあって思うんです。」

もちろん住宅のつくり方はハウスメーカーや工務店、設計事務所みんな様々で、なにを優先させたいかも様々。それでも人間が暮らすという目的は同じはずですから、自然の原則に近づけるということは居心地が良くなるということではないでしょうか。そのためには建築に携わる私達が自然の原則を常に学ばなければいけませんね。空気や太陽、風や水や音など、いろいろな自然をここちよく感じるバランスで組み合わせることができる技量が試されます。

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