建築家 田中 敏溥さんの個展

田中敏溥建築設計事務所』の田中敏溥さんが今年に入ってから事務所を閉じられたとのことで、その軌跡を追った個展に伺ってきました。

図面や模型、竣工写真が所狭しと並んでいます。それに加えて旅先でのスケッチや版画なども飾られていました。また図面は詳細図を含めて相当な枚数がありました。手描きの図面も、スケッチも版画も、そしてこれから軸足を移していくという椅子づくりにしても、機能的でありながら素材は素朴でとても美しい。構造も仕上も特別変わったことをしているわけではないのですが、それぞれが十分に考えられて組み合わされているのです。

以前田中さんが、「建築は違う素材達を仲良くさせるのが仕事だ」と言われていたのを覚えています。床と壁や、壁と天井、屋根と外壁など、その重なる部分を上手につなげてあげると。とても印象的で田中さんらしい言葉です。

また何年か前に田中さんの使っているノートを見せてもらったことがありますが、その裏表紙にはいつも書いているんだという『愛と勇気』という言葉。人柄だなぁと思ったことがあります。

20代に雑誌『住宅建築』で出会った田中さん設計の『玉川学園の家』。このころから自分の中で木造の美しさに惹かれていったように思います。そしてこの雑誌がこの個展に並んでいたことも驚きでした。

田中さんと言えば自分の地元福井県永平寺町にも『四季の森文化館』という建物があります。図書館として建設されましたが、現在は町のコワーキングスペースや交流施設として活用されているようです。建物は木造住宅ではありませんが、田中さんらしく簡素ながら素材感を美しく表現されています。

土曜日には横内敏人さんと対談や懇親会もあったようですが都合により断念。しかし45年間お疲れ様でした。これから新しい世界に挑戦するというのもまた素晴らしいことです。今見ても田中さんが設計された木造住宅の美しさは色褪せていません。これからも田中さんが残してくれた本物の美しさを見習います。

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