2022.04.15 多摩川建築塾 泉幸甫先生『講義』

今までお世話になっている京都鴨川建築塾の兄弟関係になる多摩川建築塾に参加しました。今年もオンライン開催ということで、鴨川と多摩川、それぞれ隔月で講師の先生の座学や課題の実習です。東西の建築界の先生たちに教えてもらえるというのはオンラインの良さですね。

そして第1回は『泉幸甫建築研究所』の泉先生です。30歳で独立して44年経ったとのとこ。その間に建築を取り巻く環境はとても変わったと。最近は特にコンピューターの進化が大きいと。それでもこれまで培ってきたアナログな経験を、いかにデジタルで活かしていくかということに前向きにシフトしていて、そのバイタリティは見習わなくてはいけないなと少し反省です。

泉先生といえば素材の使い方が独特だなという印象を持っていました。木でも石でも建具でも、その素材やデザインが美しく見える方法を常に探っているように感じていました。今回の講義の中で、例えば左官工事などは、どこの土を他の材料とどの割合でどれだけの時間でどう塗るかということを、何度も何度も試行錯誤しながら納得のいくものに仕上げていく、という例を見せてくれました。そしてそれこそが楽しくてしょうがないと。

そこで一言、「カタログの隷属になってはならない」

サンプルや試験体はたくさんあっても良いが、カタログの中からパーツを選んで作っていては薄っぺらい建物しかできないと。そして薄っぺらい建物は長くもたない。その結果、風景が熟成されない。とても説得力のある話でした。

さらに今の時代は材料の価格が上がり建築費が非常に高価になってきました。それなのに今までのように30年ほどで建て替えていたのでは、それこそ日本の住環境だけではなく国民が貧しくなってしまう。ここはなんとか踏ん張って設計者なりに良いものを長く使える工夫が必要だなとひしひしと感じました。

つくる楽しみはもちろん大切ですが、設計者として今必要な空間や文化やコストを、トータルでデザインしていく気持ちを強く持っていないといけませんね。

写真はHPよりお借りしました。重厚な素材感が暮らすほどに上質に変化していきそうです。

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