特集記事を読んで考え方が少し変わったので備忘録として。それは、
〜みどりへのまなざし 瀧光夫の仕事〜 という特集であります。
『建築と緑』というテーマで書かれていました。私は住宅の計画をする際に庭も同時に進めるわけなのですが、最近、庭=豊富な樹々、、、というわけでなくてもいいのでは?と思う場面に時々出会い、そのことを考えていました。
そこで瀧さんのいう『建築と緑』の内容はというと、書き出しからこうです。
・・・緑のないみどり 「街並み保存」が、さかんにいわれるようになったが、保存すべき街並みの多くにはあまり樹木は生えていない。建物が、橋が、塀が、互いに調和して並んでいるだけである・・・と。
画家が好んで描くパリの下街や、水の都ヴェニス、ローマのサンピエトロ広場、スペイン階段、トレビの泉、その他多くの世界中の美しい都市の名だたる広場に樹木は生えていないということが書かれています。そこには噴水、彫刻、モニュメント、建築群、そして床のパターンなどが、すみずみまでデザインしつくされていて、環境自体が芸術品であること。そしてこれらの総体が「緑」だということ。「緑」を広い意味でとらえれば、樹林地だけではなく広場(オープンスペース)も緑のないみどり、である。日本では龍安寺の石庭や銀閣寺の銀沙灘なども例に挙げられています。もちろん樹々のある庭を否定しているわけではありません。
そして建築はというと、「人工物が景観の要・ポイントになっているケースも多い。緑のひろがりの中では風景構成の主要素である。自然景観を生かすも殺すも構築物のありよう一つ、ということになる。」
さらに桂離宮を例に挙げ、「建物は常に庭を意識しながら、庭に席をゆずりながら建てられ、庭はまた建物に資することのみを考えてつくられる、といったよい関係がそこにはある。」
住宅を計画する際はいつも庭の樹々も同時に考えていましたが、庭は樹を植えるだけではなく、場合によってはオープンスペースでもよいのだなと。庭には樹を植えなくてはいけないという固定観念のようなものから少し開放された気がしました。しかし同時に、庭木を植えさえすれば建築の点数をあげられるという甘えもたださなければいけませんが。
やっぱり建築は奥が深い。だからますますのめり込んでしまうのです。
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