素材を仲良くする仕事

玄関はいろいろな素材が交わるエリアです。外と内の中間領域ですから土間がありますし床もあります。デザインや仕様の異なる建具がいくつも必要になったり、下足箱や飾り棚なんていうものまで必要になったりします。それなのに最近は家族空間を優先するために、玄関はコンパクトにまとめたりと、なかなか設計者泣かせの部分でもあります。ただ客観的にみると、そこだけで技量やセンスが見えちゃったりもします。

以前参加していた設計塾で、建築家の田中敏溥さんからこんな話がありました。

「家というのはいろいろな個性をもった素材が集まっている。床と壁だったり、壁と天井だったり、壁と建具だったり。そういう個性の違うものを仲良くさせるのが設計の仕事。床と壁がぶつかり合うなら、それらの個性に合わせた巾木をおさめる、天井と壁がケンカしそうなら馴染むような廻縁を考える。そうやっていろんな個性が仲のいい家が心地いい家。」・・・だいたいこんな感じの話でした。

あ~ぁ、田中さんらしいなぁと妙に感心した覚えがあります。田中さんの設計する家は本当に心地いい。素材みんなが仲がいいというのがよくわかるんです。そしてそう語る田中さんの性格がにじみでてるなぁとも思うのです。本当に優しい方です。ちなみに以前別のイベントで田中さんと同じテーブルになったことがあったのですが、田中さんの持ち歩いているノートの裏表紙には「愛と勇気」と書いてあって印象深かったです。毎回ノートが変わる度に「愛と勇気」と書くそうです。テーブルで隣にいた横内敏人さんと一緒に、こっそり写真を撮りました(笑)。

横内さんも美しい玄関をつくる建築家ですが、玄関はいろんな人の目につく場所でもあるので、建物の品の良さが ”仲良く” 表れるように設計を進めていかなければいけません。そして玄関が美しい家は、全体も美しく見えるような気がします。

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