住宅の間取りや外観、暮らしとの関係などについてはいろいろと学んできたつもりだったのですが、監理となるとまだまだ学びが足りないような気がしていました。そこで図書館でふと手にしたこの本ですが、とてもわかりやすかったです。なんせサブタイトルが『若き建築家・法律家に贈る』なので、ちょっとだけ読むのが遅い気はしますが。
この本は阪神淡路大震災を機に書かれました。当時の状況を考えれば建築主も施工者も設計者も、誰もが大変な立場での協議なので、話がうまく流れず苦情やトラブルに発展することも多かったようです。被災者という立場は皆同じなのですから大変です。そういう状況での経験を踏まえて、それぞれの立場の違いや業務内容や責任の認識をしっかりと肝に銘じて、設計監理という業務にどのように臨むべきかということが実際の出来事なども交えながら書かれています。ただ監理業務の技術論や方法論ではありません。あくまでも設計監理という仕事の義務や責任、その範囲などについて書かれています。
建築主と設計者は設計監理契約、建築主と施工者は工事請負契約。設計者と施工者はなんの契約関係もない。ただ設計者も施工者も建築主も良い建築となるように取り組むということは共通の想い。そのための各々の立場を踏まえた心得がこの本にはまとめてあります。
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