私は家で食卓に座っている時間がおそらく一番長い。景色を眺めるのが好きだったり、手の届く範囲にいろんなものがあって便利だったりというのもあるけれど、ゆったりと座っていられる椅子の存在も大きい。
私が食卓で座っているのはハンス・J・ウェグナーというデザイナーが1950年頃にデザインした椅子で、今でも生産を続けています。70年近く、ほとんどデザインが変わることなく生活の道具として世界中で使われているのです。
この椅子を購入しようと決めたきっかけは、時代に左右されないデザインというものを身をもって知りたかったからです。座り心地や肌触り、耐久性、強度、それらを含めたバランス。食事の時の姿勢や、くつろぐ場面での落ち着き。オーク材のオイルフィニッシュは年月とともに程よく味わいが増してきました。この味わいが長く付き合いたいと思う秘訣かもしれませんね。
長く使える道具という点で自分の考える建築の目標でもあるので、まだまだこれからも長い付き合いになりそうです。
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