12/7 京都鴨川建築塾

今回は京都大学大学院で准教授をされながら設計事務所も持っておられる柳沢究先生の町家改修事例見学と座学(ワークショップ)です。

町家は2軒の改修実例を見学させていただきましたが、まずは1軒目。クライアントはアメリカ人のご主人と画家の奥様。アメリカから日本に移り住む際に京町家の経年美に魅了されたようです。ただ改修と言っても建てた当時に復元するのではなく、また全てを一新することもしない。100年近くを生き抜いてきたその痕跡を継承していくというのがテーマのようです。そこには切りかかれた柱や畳の下になっていた杉板なども再利用されていました。もちろん温熱も含めた住環境の更新はされていましたが、建築や素材の経年変化を肌で感じることのできる空間でした。

2件目は比較的新しい町家の改修実例ですが、ここも1階には2つのアトリエがあります。この建物の面白いところは空間のボリュームや形態がどの部屋もすべて違うところです。吹抜けのある大きな空間から潜戸に入るような部屋まで、他の部屋とのつながり方や明るさまで実に多彩です。これは新築ではあまりない、制約の中から生まれる改修ならではの面白さかもしれません。新築だからと言って使いやすさや快適さばかりを求めてもいけないなと。均質化や効率化を求めていくことで、暮らす楽しさは薄らいでいくのかもなどと考えてみたり・・・。

午後からの座学はワークショップ形式の取り組みでした。設計というよりも、住経験を第三者を通じて表面化させることで、自分の中の「ふつう」を客観的に認識しなおすという感じのもの。みんな、他の人の生活を体験したことがないのに、内覧会やネットで憧れの家を見つけて建ててしまう。それが自分の生活に当てはまらない場合は不幸な結果につながってしまう。先生が考え出した方法で、学生から親にヒアリングを行い集められたそれらの「不幸な実例」の数々は面白おかしくも、設計する立場からするとやはり十分な配慮をしなければいけないことだと再認識させられます。そしてそのヒアリングの方法を1対1で実践練習しました。

それにしても他人の頭の中の家を作図するというのは思っていたよりも難しいですね。説明するほうも大変だと思いますが、なぜ伝わらないのかというところが、お互いに「ふつう」ではないところなのかもしれませんね。これはまた面白い聞き取りの手法を学ぶ事ができました。

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