ものづくりの技と気持ち

3年ほど前の夏、海水浴帰りに短パンとビーチサンダルという場違いな格好で疲れている家族を車に残し、ひとり最終日終了間際の「日展」会場である福井県立美術館に飛び込みました。足早に一通りの展示物に目を通し会場を後にしようとしたとき、「抽選会やってますので」と声を掛けられスピードくじのようなものを引きました。その場でくじの紙を開いたお姉さんが「おぉ、ここで出た!!おめでとうございますっ!!」という声と共に「カラン、カラン、カラン・・・」と鐘を鳴らしてくれました。こんな場違いな格好なのに、なんか申し訳なかったのを覚えています。

その時にいただいたのがコーヒーカップです。ソーサー付きなので来客用にと思っていましたが、あいにくそんなにかしこまった来客があることもなく、ひとつだけなのでそろえて出すことも出来ず、ずっと食器棚の奥に眠っていました。でもせっかくの素敵なカップだしモノは使ってこそ価値があると思っているので、眠らせておくくらいなら自分で使おうと出してきました。

抽選会場で作家さんの名前も教えてくれたのですが、失礼ながら忘れてしまいました。そこで改めて印を調べて分かりました。越前焼の「国成窯」という工房で、前田さんという親子が作陶されているようです。親子そろって日展では常連さんのようです。渋い雰囲気のカップですが実際使ってみると軽く、口当たりもとてもやさしいのです。なんとなく作家さんの気持ちが少し感じられたような気がしました。これを機に焼き物も少し勉強してみたいなと思いながら、コーヒーをいただきました。

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