「建築」という人工物をつくるときに、「庭」というある意味ではこれも人工物を組み合わせて作るようにしています。庭をつくることは、その敷地で暮らす人への息抜きの提供でもあり、もっと大きな視野でいえば、本来なら自然が溢れているであろう場所に人工物をつくることへのある種の償いともいえるかもしれません。
庭をつくるときは陽当たりや風当り、影のかかり方や湿潤状態などを考慮しながら、街や居室からの見え方なども踏まえて造園屋さんと相談します。でもやはり自然が相手だとうまくいかないこともあり、最悪の場合は枯らしてしまうこともあります。原因は防ぎようのないこともありますし、中には配慮が甘かったのかなという場合もあります。
ただ自然とは素晴らしいもので、こちらの失敗をちゃんとカバーしてくれることもあります。例えば北側のあまり日当たりのよくない庭に玉竜を密植したのですが、これがうまく育ちませんでした。しかし代わりにというわけではないのでしょうが、その一面が苔むしてきました。メインのヒメシャラはすくすくと育ち足元は玉竜から苔に選手交代です。苔はスナ苔やハイ苔のようです。見た目も美しい苔の種類なので、この機会に苔庭のことも学びつつ育ててみようかと思います。
建築家の吉田桂二さんも「環境共棲」とおっしゃっていましたが、なかなかそう簡単にはできません。ただうまくできた時には最高に心地のいい空間になるのでしょうね。
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