渋沢栄一の「論語と算盤」を齋藤孝さんがわかりやすく解説してくれています。
渋沢栄一といえば新しい一万円札の顔として、また大河ドラマの主人公として、今話題の人ですね。「資本主義の父」と称された明治の実業家が、どのように「論語」を精神の中心に据えたのか。気になるワードを備忘録。
・行為と動機と、満足する点との三拍子
誠実な人かどうかは、行動を注意深く見ていればわかる。心根の正しい人かどうかは、どんな気持ちからそういう行動をしているのか観察していればわかる。欲にまみれて悪事を働く人かどうかは、どんな暮らしに満足しているのかを見ればわかる。
・気長に時期の到来を待つの忍耐
自分の考えや意見を主張し、ときに対立する相手と戦うのは、大事なことです。でももっと大事なことがあります。それは、タイミングをはかること。気長に構えて、虎視眈々と好機到来を待ったほうがいい
・たゆまず屈せず勉強するがよい
逆境に遭ったら、しょうがないとあきらめて、おとなしく勉強に励むのがよろしい。そのポジションでできる勉強をして、事態が好転するのを待つ。
・現在において正しいことを行なったならば、人として立派
いま正しいことをする。それが人として立派になる道である。「やり直しのきかない過去」を悔やんだり、「どうなるかわからない将来」を心配したりするのはもったいない。
・自分で箸を取らなければ駄目
すごいご馳走を献立して、目の前に並べてもらっても、自分から箸をとらなければ、せっかくの料理も食べられない。
自分には簡単過ぎるとか、つまらない雑用ばかりだとか文句を言ってはいけない。そういう小さな仕事でも、手を抜かずにまじめに取り組むことが大切だ。
・立志は人生にとって大切な出発点
冷静になって、自分の長所・短所を細かく自己分析し、長所に向かって志を立てるのがよろしい。自分は何を通して世の中に貢献するのかを考えて立てた大きな志を骨子に、それを具現化していくために必要な小さな志を立てていくこと。
大谷翔平選手が高校一年生のときにつくった「マンダラチャート」がわかりやすい。
・常識はいずれの地位にも必要で、またいずれの場合にも欠けてはならぬ
知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず。いろいろな知識が頭のなかできちんと整理されていて、論理的に話すことのできる人は、判断に迷うことがない。思いやりの深く、人格の優れた人は、いつも誠実で、人に対して寛容なので、うまくいかないことがあっても悩まない。勇気をふるって行動を起こすことができる人は、何があってもビクビクしない。
・平素心して良習慣を養う
習慣の束=人格。身につけるべき習慣を二週間で見きわめる。
・自分の職掌に対しては必ずこの熱誠がなくてはならぬ
お金をもらわなくてもやりたい、やらずにはいられない仕事。趣味でも、仕事でも、どっちでもいい。自分の好きなことを一生懸命やって、豊かな人生を生きることが大切なんだ。
・己の欲せざる所、人に施す事勿れ
自分がしてほしくないことは、人にもしないように。
・人を立て達せしめて、しかる後に自己が立ち達せんとする
自分のことは後回しにして、まず人が何を望んでいるかを察して、それがうまくいくように手を貸してあげましょう。
・我れ自身をどうぞ無駄に使わぬように心懸けたい
時間をムダに使うのは、他人の時間を盗んでいるのと同じ。物は盗めば罪になるけど、時間だと罪に問われないために、時間泥棒に対する罪の意識がない。
・自ら努力して運なるものを開拓せねば、けっしてこれを把持するということは不可能である
本当にいい運をしっかりとつかみたかったら、自ら努力して運を切り拓いていかなくてはいけない。
ほんの一部ですが、自分も大切に思っていることを再確認。子供の頃は常に親や先生に注意されていたから行動を正せていたけど、大人になると誰も注意してくれないです。たまにはこうやって本でも読んで意識していないとすぐに大切なことを忘れてしまいます。ちょっと心が疲れたときに読んで、心の拠り所にするにはとても良い本かもしれないですね。
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