建築や庭を作るのだけれど、その根っこにあるのは「その場の自然に許される一部になりたい」ということ。
庭工事とはいうものの、周囲を田や畑に囲まれていて隣家なども接してはいません。視界に広がるのは、田園風景とそれらを取り巻く美しい山の稜線です。計画段階で牧草地のような雰囲気のままでも良いかという考えもあったのですが、やはり人の住処としての在り方を模索する中で、ひとつの方法を思いつきました。
もともと人の手が加わっていないような場所に建築をするので、自然と建築が中和する存在をセットにすること。
そこで建築が主張し過ぎないように樹を添えようと。ただこれだけ豊かに広がる自然の中では、いつも通りの造園ではスケールが違うと思い、屋敷林のような存在の大きな樹を添えることとしました。
当初の計画では西日の木陰が居室に影を落とすような位置に配置していましたが、現地で建主や造園屋さんと敷地と建物とのバランスなども話し合い、朝陽の影が居室に伸びる位置に変更しました。こういう現地での打合せは本当にワクワクして楽しいです。庭師になりたいと思ってしまうほど(笑)
こうして高さが10mを超えるケヤキの樹が、建築に負けず劣らずの存在感で座ってくれることになりました。建築という人工物と、自然のものだけれど人の考えによって添えられた半自然物が見事に調和し、この自然の中に馴染むような存在になってくれたように思います。
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