自然の厳しさと、工夫のある暮らし

庭を楽しみながら暮らしたいと考えたとき、できるだけ大きな開口で庭と居室をつなごうと考えます。開放的な居室から庭が望めるというのは大変気持ちのいいものです。

しかしこの方法がもたらす最大のデメリットに「熱損失」という問題があります。簡単に言うと「ガラスは壁よりも熱が逃げやすい」ということです。それぞれの仕様にもよりますが、ガラスの断熱性能は壁の1/5~1/10です。その熱の逃げる面積が大きいほど、居室は冬は暖まりにくく夏は涼しくなりにくいということになります。

気候のいいときは自然を感じながら暮らし、気候の厳しいときはうまく付き合う暮らし方が理想的だと考えています。そのためには断熱材や開口などの設備を強化するというのも大切なのですが、その前にまずは間取りのつくり方で対応するようにしています。具体的には、気候と環境を踏まえ、要となる箇所に開口設け、そこから家全体にあかりがめぐるように空間をつなげます。最小の損失で最大の効果を得られるような工夫です。開口にも障子を組み合わせてコールドドラフトに対応させたりしながら、機能とインテリアの両立を目指します。そうやって少しづつの工夫で、四季を感じながら心地よく暮らせる場所がつくれると思うのです。

一言で「省エネ」というと設備や仕様に頼りがちですが、その前に設計者として知恵を出し、クライアントと一緒にデザインしていくというのも楽しいですね。

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